線状降水帯多発!異常気象時代の「水害に強い家づくり」

2025.09.10

 

近年の日本では、これまでの常識を覆すような記録的な豪雨が頻発しています。線状降水帯による集中豪雨や、台風の大型化は、これまで安全だと思われていた地域にまで浸水被害をもたらしています。「うちの地域は大丈夫だろう」という思い込みは、もはや通用しません。

今回は、異常気象時代の家づくりに不可欠な「水害への備え」について、その原因から対策、そして家を守るための具体的な方法まで、専門的な知見を交えながらわかりやすく解説します。

水害はなぜ起こる?その要因と事例

水害には大きく分けて、3つの主な要因があります。

水害の主な3つの要因

  • 内水氾濫(雨による氾濫) 都市部の排水能力を超える短時間の集中豪雨が原因で、道路や住宅地に水が溢れる現象です。アスファルトで覆われた都市部では地面が水を吸収しないため、河川が近くになくても起こり得ます。
  • 外水氾濫(川による氾濫) 大雨によって河川の水位が上昇し、堤防を越えたり決壊したりして水が溢れ出す現象です。河川の近くに住む方にとって、最も警戒すべき水害です。
  • 津波・高潮 地震によって発生する津波や、台風によって引き起こされる高潮は、海水面を異常に上昇させ、沿岸部に甚大な被害をもたらします。

直近の水害事例(関西圏の事例)

近年、関西圏でも大規模な水害が発生しています。特に印象的なのが、2018年の西日本豪雨です。この豪雨では、特に岡山県真備町で甚大な浸水被害が発生し、多くの家屋が水没しました。真備町は高梁川の支流に囲まれた地形であり、複数の河川の氾濫が複合的に被害を拡大させました。

また、2022年の台風14号では、近畿地方の各地で河川が氾濫し、多くの住宅地が浸水しました。このように、水害は特定の地域だけでなく、全国どこでも起こりうる現実的なリスクとなっています。

ハザードマップの見方

自宅や土地を選ぶ際には、ハザードマップを必ず確認しましょう。ハザードマップは、国や自治体が作成しており、浸水の深さや土砂災害のリスクなどを示しています。

  • 浸水深の目安: 地図上の色分けは、想定される浸水の深さを表しています。たとえば、「5.0m〜10.0m未満」は建物の1〜2階が浸水する可能性があることを示唆します。
  • 避難場所の確認: 自宅の場所だけでなく、避難経路や避難場所も合わせて確認しておきましょう。

ハザードマップは、国土交通省のハザードマップポータルサイトhttps://disap.bosai.go.jp/)などで簡単に確認できます。

 

もし水害にあったら?被害と費用、保険の知識

水害が家屋に与える影響

  • 床下浸水: 床下のみの浸水であっても、建物の基礎や土台が水分を吸収し、建材が腐食する可能性があります。これにより、シロアリやカビが繁殖しやすくなり、家屋の構造的な劣化につながります。
  • 床上浸水: 建物内への浸水は、床や壁、家具などに直接的なダメージを与えます。木造住宅の場合、木材が水分を含み、乾燥後も変形やひび割れを起こすことがあります。

建物構造による影響の違い

  • 木造住宅: 浸水に弱く、木材が水を吸うことで腐食、カビ、シロアリ被害のリスクが非常に高まります。乾燥や消毒、再補修に多額の費用がかかる場合があります。
  • コンクリート(RC造)住宅: 木造に比べ水に強いですが、建材の内部に水分が浸透したり、電気系統や配管に被害が出たりすることがあります。

水害の費用と保険

水害による被害は、修理費用だけでも数十万円から数百万円に及ぶことがあります。このような予期せぬ出費に備えるために、保険の確認は不可欠です。

  • 火災保険では不十分? 多くの人が誤解していますが、一般的な火災保険は水害による損害を補償しません。水害による損害をカバーするには、火災保険の「水災補償」に加入している必要があります。
  • 水災補償の範囲: 水災補償は、火災保険の特約として付帯されることがほとんどです。補償の対象となる条件は保険会社や商品によって異なりますが、一般的には以下のいずれかを満たす場合に適用されます。
    • 建物や家財の再調達価額(または時価額)に対して、一定の割合(例:30%)以上の損害が発生した場合。
    • 浸水深が床面から45cm以上になった場合。
  • ご自身の保険契約で水災補償が付帯されているか、また補償範囲がどうなっているか、保険証券や約款で確認することが非常に重要です。

 

水災補償を提供する主な保険会社

日本で火災保険を提供している主要な損害保険会社は、基本的にすべて水災補償を扱っています。主な例としては以下のような会社が挙げられます。

  • 東京海上日動火災保険
  • 損害保険ジャパン
  • 三井住友海上火災保険
  • あいおいニッセイ同和損害保険

これらの保険会社は、それぞれが提供する火災保険のパンフレットやウェブサイトで、水災補償の詳しい内容や適用条件を公開しています。

補償の範囲と金額の考え方

水災補償は、単に「水害に遭えば補償される」というわけではありません。多くの場合、以下のような条件を満たす必要があります。

  • 損害の程度:
    • 建物や家財の再調達価額(または時価額)に対して、一定の割合(例:30%)以上の損害が発生した場合。
    • 浸水深が床面から45cm以上になった場合。

これらの条件は保険会社や商品によって異なるため、ご自身の契約内容や検討しているプランの約款(やっかん)を必ず確認することが重要。

 

【参考・引用元】

  • 一般社団法人 日本損害保険協会: 火災保険と水災補償に関する詳細情報を提供。(https://www.sonpo.or.jp/

 

今すぐできる水害対策と防災グッズ

簡単にできる水害対策

  • 止水板の設置: 玄関や窓からの浸水を防ぐために、簡易的な止水板を設置します。
  • 土のうの活用: 水害対策の基本です。水を吸わせることで重量が増し、水の侵入を防ぎます。軽量な「吸水土のう」も市販されています。
  • 排水溝・雨どいの掃除: 詰まっていると内水氾濫の原因になります。こまめにゴミや泥を取り除いておきましょう。
  • 家財の避難: 浸水が予想される場合は、1階の家具や家電、貴重品などを2階や高い場所に移動させます。

備えておきたい防災グッズ 

  • 非常持ち出し袋: 避難時に必要な食料、飲料水、薬、モバイルバッテリーなどを入れておきましょう。 【ネット通販で購入可能】 Amazonや楽天などで「防災セット」「非常用持ち出し袋」と検索すると、必要なアイテムが一式揃ったセットを購入できます。
  • 簡易的な止水板や土のうセット: 簡単に設置でき、いざという時に役立ちます。 【ネット通販で購入可能】 「止水板」「水害対策 土のう」「吸水土のう」といったキーワードで、様々なタイプの商品が見つかります。
  • 懐中電灯、携帯ラジオ: 停電時や情報収集に不可欠です。 【ネット通販で購入可能】 「手回し充電ラジオ」「多機能ラジオライト」などで検索すると、手動で充電できるタイプや、USB充電機能が付いた多機能な製品が見つかります。

 

結論:未来を守るために、今からできること

異常気象が日常となる現代において、水害はもはや他人事ではありません。家づくりを考える際には、ハザードマップの確認から始まり、建築構造の選択、そして保険の見直しまで、多角的な視点から水害対策を検討することが重要です。

未来の家族と家を守るために、この記事が皆様の安全な家づくりの一助となれば幸いです。

 

 

 

 

 

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