【専門家が解説】ただでもらえる空き家を探すには? 

2025.09.03

「タダで家が手に入る」 にわかには信じがたい話ですが、今、深刻化する空き家問題を背景に、これが現実のものとなっています。テレビ東京の「ガイアの夜明け」といった番組でも特集され、新しいライフスタイルとして注目を集め始めています。

しかし、なぜ持ち主は、大切な資産であるはずの家を「0円」で手放そうとするのでしょうか?そして、その物件は本当にお得なのでしょうか?

この記事では、住宅のプロとして、「0円空き家」が生まれる社会的な背景から、具体的な探し方、そして「タダより高いものはない」を避けるための必須知識まで皆さんに分かりやすく徹底解説します。

 

目次

「0円空き家」が生まれる社会的な背景

 日本の空き家問題は、少子高齢化と人口減少が主な要因です。特に地方では、相続された実家を誰も使わないまま放置されるケースが増えています。解体費用は高額になるため、所有者にとって大きな負担となります。さらに、空き家を放置すると固定資産税や都市計画税がかかり続ける上、管理が不十分だと老朽化や倒壊のリスク、不法投棄などの問題を引き起こし、近隣住民とのトラブルにも発展しかねません。こうした負担を回避するため、費用をかけて解体するよりも、むしろ「タダ」で譲り渡すことを選択する所有者が増えているのです。

 

データで見る日本の現実|899万戸の空き家と、値が付かない家々

まず、この問題がいかに深刻か、最新のデータから見ていきましょう。

 

全国47都道府県別 空き家数・空き家率一覧(2023年10月1日時点)

順位

都道府県

空き家数

空き家率

1

東京都

898,700戸

11.1%

2

大阪府

808,100戸

17.2%

3

神奈川県

551,100戸

11.9%

4

愛知県

506,100戸

14.8%

5

埼玉県

448,500戸

13.0%

6

千葉県

436,500戸

14.7%

7

兵庫県

428,200戸

16.1%

8

北海道

413,800戸

14.7%

9

福岡県

358,000戸

13.6%

10

静岡県

258,200戸

16.2%

11

茨城県

204,400戸

15.8%

12

広島県

204,200戸

14.7%

13

京都府

196,800戸

16.3%

14

鹿児島県

177,900戸

20.4%

15

栃木県

152,700戸

17.4%

16

三重県

149,400戸

17.6%

17

長野県

148,800戸

16.2%

18

群馬県

148,100戸

16.8%

19

岐阜県

145,100戸

16.9%

20

愛媛県

139,300戸

19.8%

21

新潟県

137,800戸

14.2%

22

宮城県

134,800戸

13.4%

23

岡山県

133,300戸

15.5%

24

福島県

132,900戸

15.6%

25

山口県

131,000戸

19.3%

26

和歌山県

118,500戸

21.2%

27

熊本県

116,300戸

14.6%

28

高知県

99,600戸

20.3%

29

滋賀県

98,700戸

14.1%

30

長崎県

97,900戸

15.6%

31

奈良県

97,800戸

16.0%

32

大分県

96,200戸

17.9%

33

宮崎県

92,200戸

17.7%

34

石川県

76,000戸

14.9%

35

香川県

74,400戸

16.9%

36

岩手県

73,800戸

13.9%

37

青森県

73,400戸

13.3%

38

山梨県

72,000戸

19.3%

39

徳島県

69,900戸

19.8%

40

沖縄県

69,200戸

9.8%

41

富山県

68,500戸

15.4%

42

秋田県

67,200戸

14.9%

43

山形県

64,800戸

14.6%

44

佐賀県

58,100戸

16.3%

45

島根県

55,700戸

17.8%

46

福井県

54,900戸

16.7%

47

鳥取県

41,700戸

16.4%

全国合計

 

8,993,600戸

13.3%

 

  • 日本の空き家は過去最多の約900万戸 総務省の最新調査(令和5年住宅・土地統計調査)によると、2023年10月1日時点での全国の空き家は899万戸にのぼり、過去最多を更新し続けています。これは、日本の総住宅数(6,778万戸)の13.3%を占め、約7戸に1戸が空き家であることを意味します。
  • 「売れない」空き家が3割超 空き家の内訳を見ると、賃貸用でも売却用でもない「その他の住宅」が385万戸と、空き家全体の42.8%を占めています。これらは物置として使われていたり、相続したものの買い手も借り手も見つからず放置されていたりする物件で、この中に実質的に値段が付かない「0円空き家」**が多数含まれているのです。 

(出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計 結果の概要」

 

【関西エリア】の空き家率

関西2府4県の空き家率は、和歌山県(21.2%)、大阪府(17.2%)、京都府(16.3%)、兵庫県(16.1%)、奈良県(16.0%)、滋賀県(14.1%)となっており、特に和歌山県は全国で最も高い水準です。身近な地域でも問題が深刻化していることがわかります。

 

「0円空き家」はどう探す?3つの具体的な方法

「タダでもらえる空き家」は、どうすれば見つけられるのでしょうか。主な方法は3つあります。

  • 方法①:全国版「空き家バンク」から探す

 

  • 方法②:民間の空き家マッチングサイトを活用する

    • 近年、NPO法人や民間企業が運営するマッチングサイトが登場しています。自治体のバンクよりデザイン性が高く、検索しやすいのが特徴です。所有者自身が「誰かにもらってほしい」と直接登録しているケースもあり、話がスムーズに進む可能性があります。
    • 参照先リンク:
    • みんなの0円物件

 

  • 方法③:「相続土地国庫帰属制度」を理解する

    • これは物件を探す方法ではありませんが、0円物件が市場に出る背景として重要です。2023年4月に始まった、相続した不要な土地を国に引き取ってもらう制度ですが、建物が残っている土地は対象外、更地でも崖地はNGなど、非常に厳しい要件があります。
    • この制度を使えない所有者が、「国に10年分の管理費相当額を払って引き取ってもらうより、誰かに0円で譲った方が良い」と考えるケースが増えており、無償譲渡物件の増加の一因となっています。
    • 参照先リンク: 法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」

 

「タダ」の裏に潜む費用|本当に必要な総額は?

ここが最も重要なポイントです。物件価格は0円でも、付随する費用は必ず発生します。

  • 取得時にかかる費用(目安:10万円~50万円)

  1. 不動産取得税: 固定資産税評価額が低い場合は免除されることもありますが、原則としてかかります。
  2. 登録免許税・登記費用: 所有権を自分に移すための税金と、司法書士に支払う手数料。
  3. 仲介手数料: 不動産会社が間に入った場合(物件価格が0円でも、最低額の手数料がかかる場合があります)。
  • 取得後にかかる費用(選択肢別)

    • リフォーム費用(数百万円~): 水回り(キッチン・風呂・トイレ)の交換だけでも150万円~、屋根や外壁の修繕には100万円~、耐震補強工事には**150万円~**と、状態によっては新築同様の費用がかかることも。
    • プロによるインスペクション(建物状況調査)費用(5万円~10万円): 契約前に必ず実施すべきです。 雨漏りやシロアリ被害、構造の傾きなど、素人では見抜けない欠陥を専門家がチェックします。
    • 固定資産税: 毎年かかります。
    • 解体費用(100万円~300万円): 木造30坪程度の家屋の場合、この程度の費用がかかります。
    • 新築工事費用(1,500万円~): 新しい家を建てるための費用。
    • 解体費用
    • 税金面の注意: 家を解体して更地にすると、土地の固定資産税の優遇措置がなくなり、税額が3~4倍に跳ね上がる可能性があります。
    1. 【リフォームして住む場合】
    2. 【建て替えて住む場合】
    3. 【更地にして土地として利用する場合】

     

    新しいライフスタイルの提案|「0円空き家」とどう向き合うか

     

    「0円空き家」は、単なる節約術ではありません。賢く活用することで、豊かな暮らしを実現する一つの選択肢となり得ます。

    • どんな人に向いている?

    1. DIYやセルフリノベーションを時間をかけて楽しめる方。
    2. 二拠点生活や週末の隠れ家を探している方。
    3. 浮いた物件購入費を、内装や家具へのこだわりに回したい方。
  • 成功のための3つの鉄則

    1. 焦らない: 好条件に見えても、その場で即決しない。必ず複数の物件を比較検討する。
    2. 専門家を頼る: 必ずホームインスペクター(住宅診断士)に建物状況調査を依頼し、大規模な修繕が必要ないか、客観的な評価を得る。
    3. 総額で判断する: 物件価格の0円に惑わされず、登記費用、リフォーム、税金など、今後5~10年でかかるであろう総額でその物件の価値を判断する。

     

    「0円空き家」は、宝物か、それとも…?

    深刻な社会問題である空き家は、視点を変えれば、新しい暮らしを始めるための大きなチャンスとなり得ます。 しかし、そのチャンスを活かすには、物件の本当の状態を見抜く目と、将来かかる費用を冷静に見通す視点が不可欠です。

    「タダだから」という理由だけで飛びつくのではなく、専門家のアドバイスを仰ぎながら、その物件が本当にあなたのライフプランに合う「宝物」なのかをじっくりと見極めてください。この記事が、その賢い第一歩となれば幸いです。

     

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