空き家問題とは?増加の背景・デメリットと活用方法まで徹底解説

2025.07.23

現在、空き家を所有している皆さまにとって、「管理の手間」「税負担」「法的リスク」は切実な問題です。一方で、適切な活用を行えば資産として再生し、家計負担の軽減や収益化も可能です。本記事では、所有者視点で「空き家の定義・増加背景」「リスク」「法的措置」「関西圏の支援制度」「活用方法」「実際の活用事例」「手続きの流れ」「チェックリスト」を詳しく解説します。

空き家とは?分類と定義

総務省「住宅・土地統計調査」では、空き家を以下の3種類に分類しています:

  • 二次的住宅:別荘や帰省用など、利用目的が限定的で継続的に居住していない住宅
  • 賃貸用住宅:賃貸を前提に所有されているもの(空室期間中の物件)
  • その他の住宅:上記以外で、居住・使用されていない住宅全般 

さらに、行政の空家等対策特別措置法では、所有者の管理状況に応じて

  • 管理空家(将来利用予定あり・定期的管理あり)、
  • 放置空家(管理不全だが特定空家指定前)、
  • 特定空家(倒壊・衛生・防災上の危険があると指定)

 

の3段階で対応しています。

空き家増加の背景と現状

  • 空き家戸数:2023年時点で全国の空き家数は約900万2千戸、住宅総数に占める割合は約13.8%に達しています

7戸に1戸が空き家:住宅7戸に1戸が空き家という計算です
増加要因として、高齢化・少子化による相続後の管理不足、相続トラブルで名義移転が進まないこと、固定資産税の特例による解体抑制、地方過疎化による都市集中などが挙げられます。

関西圏5府県の空き家率は、全国平均13.8%を上回る県が多く、地域ごとに差が顕著です。

 

関西5府県の空き家率(2023年10月1日時点)

  • 大阪府:14.3%(全国平均13.8%)
  • 兵庫県:13.8%(全国平均と同率)
  • 京都府:13.1%(全国平均を若干下回る)
  • 奈良県:14.6%(全国平均を上回る)
  • 和歌山県:21.2%(全国で2位の高率)

関西圏における増加要因

高齢化・相続の停滞

和歌山県の65歳以上人口比率(高齢化率)は33.6%と全国平均(約30%)を上回り、親世代の施設入所・死亡後に実家が空き家化しやすい状況です。

 

 都市部と郊外で異なる住宅需要
大阪府など大都市近郊では、再開発需要や集合住宅リノベーションの動きが強く、5年間で0.9ポイント空き家率が低下しました。需要の伸びが空き家抑制に寄与しています。

全国共通の相続・税制要因
相続登記未了や共有名義による活用調整の難航、固定資産税「住宅用地特例」の活用による解体抑制など、全国同様の要因が関西圏でも作用しています。

 

これらの地域特性を踏まえ、所有者としては相続登記の早期完了・管理体制の確立・自治体支援制度の積極活用がいっそう重要となります。

 

出展元: 国土交通省 総務省統計局  三井住友銀行  総務省統計局

所有者にとってのリスクと負担

  • 管理コストの増大
  • 雑草処理、雨漏り修繕、防犯対策など維持管理に時間・費用がかかる。
  • 固定資産税負担の増加
  • 特定空家に指定されると「住宅用地特例」が外れ、固定資産税が最大6倍になる可能性があります。

出展元:NPO法人 空家・空地管理センターNPO法人 空家・空地管理センター

  • 法的制裁・行政代執行
  • 「助言 → 指導 → 勧告 → 命令」の順で厳しくなり、命令に従わないと50万円以下の過料が科せられます。改善されない場合、行政が解体等を行い、その費用を所有者負担とされるリスクがあります。

出展元:〖解体の窓口〗NPO法人 空家・空地管理センター

  • 資産価値の劣化
  • 老朽化が進むほど再生コストが上がり、売却時に買い手がつきづらくなる。
     

行政の取り締まりと法的措置

2015年施行の空家等対策特別措置法により、自治体は特定空家の指定や立入調査、指導・命令・過料、そして代執行が可能となりました。

  • 特定空家指定基準:崩壊の恐れ、衛生害、景観阻害、防災リスクなど
  • 命令違反の過料:50万円以下
  • 行政代執行:樹木伐採、塀撤去、解体など必要な措置を代行し、費用請求可能

所有者としては、早期の対応・改善が強く求められます。

 

関西圏の所有者向け支援制度比較

関西5府県・一部市町が実施する、空き家所有者向けの主な補助制度をまとめました。 ◆対象はすべて「空き家を所有している方」です。

地域

制度名称

補助内容

出典

大阪府 枚方市

若者世代空き家活用補助制度

空き家の除却・新築・リフォーム工事費用を最大100万円補助(40歳以下の若者世帯・子育て世帯が対象)

枚方市公式ホームページ

兵庫県 加古川市

空き家活用改修費補助制度

改修工事費の3分の1を補助(上限50万円)、改修後10年以上住宅利用の条件

加古川市公式サイト

京都市

空き家等の活用・流通補助金(敷地活用補助)

狭小敷地の解体工事費を工事費の1/3補助(上限60万円、要件で最大20万円加算可)、売却時仲介手数料1/2補助(上限25万円)

補助金ポータル

奈良市

空き家・町家バンク活用住宅支援補助金

登録空き家の購入改修費用を2分の1補助(上限50万円)、荷物撤去費を全額補助(上限20万円)

奈良市公式サイト

和歌山県

空き家改修補助金

改修工事費の1/2を補助(上限100万円)、県外移住者対象。

わかやま既存住宅状況調査補助金:調査費1/2補助(上限5万円)

わかやまLIFE – わかやまに恋しよう! わかやま移住・定住支援サイト

 

空き家の活用方法

所有する空き家は適切な活用プラン次第で「資産」に変わります。下記の方法と資金調達手段を活用して、有効活用を考えてみてはどうでしょうか?

 

主な方法とポイント:

  • リフォーム・賃貸:自宅用または投資用賃貸として改装。入居者募集や空き家バンクを利用。
  • 売却(現状売り・更地売り):解体+更地売りで土地価値を活かす。補助金活用で負担軽減。
  • 民泊・簡易宿所:旅館業法(民泊新法)の許可取得で短期貸し。立地次第で高収益。
  • SOHO・オフィス転用:テレワーク需要に対応。地元企業・起業家向けシェアオフィス化。
  • サブスク型活用:企業提携で株主優待型・時間貸し事業など新ビジネスに組み込む。
     

資金調達手段:

地方自治体補助金(上表)、リフォームローン(上限数百万円・金利2~4%程度)、日本政策金融公庫「再生支援融資」、クラウドファンディング、親族共同出資など。

ケース別活用事例(関西圏)

関西圏で実際に活用が期待されるケース別活用事例をご紹介します。

詳しくはお住まいの都道府県の管轄市町村にお問い合わせしてみてください。

  • 京都市:築100年町家の再生民泊
  • 大阪府枚方市:若者世代リノベ自宅
  • 築30年空き家を購入し、耐震改修+水回りリフォーム300万円のうち100万円を補助適用。残額200万円はリフォームローンで賄い、子育て世帯が移住を実現。 枚方市公式ホームページ
  • 兵庫県加古川市:SOHOオフィス転用
  • 築40年の戸建て空き家をシェアオフィスに改修。改修費150万円の1/3(50万円)を助成取得、年間賃料収入で2年以内に自己負担分を回収。 加古川市公式サイト

チェックリスト付き空き家活用の流れ

それではここまでの記事を参考に、 空き家をお持ちの方が活用する為の事前の準備と大枠の流れをまとめます。

チェックリストを参考に、活用が可能かどうか確認してみましょう。

  1. 現況確認:登記・相続登記済みか・建物状況調査(インスペクション)実施
  2. 活用目的設定:賃貸・売却・自宅利用など目標を明確化
  3. 行政相談:管轄市区町村窓口で無料相談、補助制度の確認
  4. 補助金申請:事前協議(必要制度のみ)→交付申請→工事→完了報告
  5. 改修工事:信頼できる県内事業者に発注
  6. 活用開始:賃貸募集・販売活動・宿泊運営など
     

所有者チェックリスト

  • 所有権登記は最新か(相続登記済)
  • 建物状況調査を受けたか
  • 用途地域・建築規制を把握しているか
  • 補助制度の要件を満たしているか
  • 活用プランに応じた資金調達手段を検討済か
  • 行政への相談・手続きを開始しているか

 

まとめ

所有する空き家は「放置」すれば税負担や罰則リスクが高まりますが、関西圏では多様な支援制度が整備されています。補助金・助成金を組み合わせ、リフォームローンやJFC融資を活用すれば、自己負担を抑えつつ再活用が可能です。
まずは現況調査と行政相談から。適切な計画と専門家のサポートを受け、一歩ずつ活用に踏み出しましょう。資産価値を守りながら、地域にも新たな価値を生む“オーナーアクション”を推進していきましょう。

 

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いえたった関西編集部
本記事は、いえたった関西編集部が執筆・監修しています。
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