高齢者に適した住宅アイデア・技術・トレンド10選|2025
2025.07.08
2025.07.08

日本は超高齢社会を迎え、今後ますます「自宅で老後を安心・快適に過ごしたい」というニーズが増加します。病床や介護施設が不足する中、住宅内での睡眠・入浴・トイレ・炊事・洗濯などの毎日のルーチンを支えつつ、移動(バリアフリー)・介護サポート・独居高齢者見守りといった要素を組み込むことが重要になります。ここでは、高齢者が自立期から要介護期、独居期までを見据えたうえで「毎日の暮らしが楽につながる」具体的なアイデア・技術・トレンドを10項目ピックアップし、解説します。
目次

・高齢者の睡眠は「入眠しづらい」「夜間何度もトイレに行く」「日中に昼寝が増える」など、生活リズムが変わりやすい。
・睡眠中に腰や関節を痛めない寝具、寝返りしやすいベッドやマットレスの選択、夜中に起きても動きやすい照明環境と防音対策が肝心。
電動介護ベッド
・ワンタッチでヘッド・フットの角度を調整できるモデルを導入。
・自動でリクライニングしやすく、腰痛や膝関節の負担を減らす機能付きマットレスが組み合わせ可能。
・ベッド高さを床面から調整しやすく、立ち上がり/座ったまま寝返りをサポートする安全バー内蔵タイプがおすすめ。
調光・タイマー照明
・寝室内は「暗すぎず眩しすぎない調光機能付き照明」を備えることで、夜中にトイレに立つ際にも足元をほのかに照らせる。
・就寝時刻には「暗め→消灯」、起床時刻には「徐々に明るくなるタイマー式LED照明」を設置し、自然に覚醒しやすい環境に。
防音・吸音対策
・上階や隣家からの生活音がストレスとなるため、防音シート入りのカーペットや二重サッシを導入し、静かな睡眠環境を確保。
・ドアや引き戸は音漏れしにくい「枠付きレール」や「パッキン付きドア」を選ぶと、深夜の物音が気にならない。
フランスベッド販売株式会社:豊富なバリエーションから選べる本格電動ベッド

・高齢者は体温調節機能が低下しやすく、浴室で“浴びる”だけでも身体に大きな負担がかかる。
・浴槽のまたぎ高さや浴室内の滑りやすさ、温度差によるヒートショックを防ぐ設備が必要。
・ミストバス(ミラバス)は節水しながら“身体を温める”最新技術として注目されている。
ミラバス(ミストバス)搭載ユニット
・超微細ミストを発生させることで、少ない湯量でも身体全体を包むように温める。
・入浴時の温度差を軽減してヒートショックを予防。皮膚を乾燥から守り、関節のこわばり緩和やリラックス効果も期待できる。
・既存浴室への後付け対応モデルが増えており、リフォームの際に組み込みやすい。
シャワーチェア・浴槽台
・滑り止め付き座面と高さ調節可能な脚部を備えるシャワーチェアを設置し、「浴槽のまたぎ」が難しい場合でも安全に座ったままシャワー浴を可能に。
・浴槽に「浴槽台(踏み台)」を置くと、ヒザへの負担を軽減できる。グリップ付きタイプは立ち上がり補助にもなる。
浴室暖房換気乾燥機
・入浴前に「浴室暖房」で浴室内を予め温めておくと、急激な温度差を緩和可能。
・冬季のヒートショック対策としてだけでなく、入浴後の衣類乾燥にも使えるので、衣類を浴室で乾かしやすくなる。
株式会社サイエンス:身体も浴槽も自動で洗浄「ミラバス」

・トイレは「起きて→トイレ→洋式便座に座る→立ち上がって戻る」という一連の動作が多く、転倒リスクが高い。
・洋式便座への交換や手すり設置、温風乾燥などで利便性と清潔性を両立しやすい。
自動昇降・自動洗浄機能付き便座
・リモコン操作またはセンサー感知でフタが自動開閉、用を足した後は自動洗浄・温風乾燥を行う機能付き。
・久しぶりにトイレに行く高齢者でも「フタ開け閉め」が不要となり、負担を軽減。
手すり・補助バー
・便器左右に縦型・横型の手すりを設置し、「座る」「立ち上がる」「方向転換」をサポート。
・将来的に壁に手すりを追加しやすいように、下地補強をしておくと安心。
温風乾燥・抗菌床材
・洗浄便座の温風乾燥機能は、ふき取り負担を減らすだけでなく、肌に優しく冬場の冷えを軽減。
・トイレ床は抗菌・防カビ機能を備えたクッションフロアやタイルを採用し、清掃を簡素化しながら衛生的に保つ。
手洗いカウンター高さ最適化
・洗面ボウルの高さを700~750mm程度に設定し、屈まなくても手を洗いやすい設計に。杖や歩行器をついたまま利用しやすいスペースを確保。
TOTO:便座が電動で昇降し、立ち座りをサポート「トイレリフト」

・台所仕事は「立ち続ける」「重い鍋や食材を持ち上げる」「蛇口をひねる」「コンロに火をつける準備をする」など、多くの動作が伴う。
・高齢者でも疲れにくい調理動線と、安全装置のある設備があると安心。
高さ可変システムキッチン
・電動または手動で天板の高さを650~900mm程度まで調整できるモデルを選ぶ。椅子に腰掛けたまま調理作業でき、腰や膝への負担を軽減。
・シンク下・ガスコンロ下は引き出し式のスライド収納を採用し、しゃがまずに調理器具や食器を取り出せる。
引き出し式調理台+キャスター付きワゴン
・調理途中に必要な調味料や道具をまとめておけるワゴンをキッチン横に置き、必要時だけ引き出して使う形式に。
・コンロ横の作業スペースが狭いと負担になるため、折りたたみ式の拡張天板を設け、使わない時は折り畳んでおくとすっきり。
自動火災検知・ガス遮断システム連携
・コンロ周辺に火災検知センサーを設置し、一定時間以上コンロが使われたまま放置されると自動でガスを遮断。
・ガスコンロは安全センサー内蔵タイプ(焦げ付き・油過熱検知)を選ぶと、うっかり火の元を消し忘れるリスクを低減できる。
LINAK:電動アクチュエータシステムキッチン

・洗濯は「洗う→干す→取り込む→たたむ」という一連の作業が高齢者には負担になりがち。体への負担を減らす動線と機器選びが重要。
・特に「洗濯機の上げ下げ」「洗濯物を干す場所への移動」「乾燥機の操作」などをできる限り楽にする工夫が必要。
前開き型ドラム式洗濯機または縦型洗濯機(ハイポジション)
・前開きのドラム式を腰の高さに設置することで、かがまなくても洗濯物を入れられる。
・縦型洗濯機の場合は、脚部で高さを200mm程度上げてハイポジション化し、同様にかがみ動作を軽減。
乾燥機一体型または衣類乾燥機連動システム
・洗濯終了後、自動で乾燥運転に切り替わる機能を持つモデルを選ぶと、衣類をいちいち移し替えずに済む。
・乾燥機能を使わずに「浴室乾燥機」や「ランドリールーム」を併設し、雨天時や冬季も衣類を簡単に乾かせる仕組みを整える。
折りたたみ式作業台・アイロン台
・狭い家事スペースでは洗濯物をたたむ場所が確保しにくいので、折りたたみ式の作業台を壁面に設置。不要時はコンパクトに折り畳めるものを選ぶ。
・アイロンがけをする際も同じ作業台を流用でき、アイロン台を別途保管する必要がない。
Panasonic:ドラム式洗濯乾燥機SDシリーズ

・高齢者にとって「つまずき」「滑り」「歩行困難」は大敵。室内移動のたびに転倒リスクが生じる。
・最低限「歩幅」「視線」「脚力」に合わせた動線設計と、手すりやスロープを整備することが必須。
全館段差なしフラット設計
・玄関~廊下~リビング~寝室~トイレ~浴室まで、建物内の段差を極力なくし、使用者がシルバーカーや車いすを利用しても移動しやすい。
・どうしても必要な敷居は「幅50mm以内のスロープ敷居」を設けることで、足を引っかけにくくする。
室内スロープ
・トイレや浴室、ウッドデッキや縁側まわりの小さな段差は「緩やかなスロープ」を併設し、シルバーカーやキャスター付き椅子でも通行可能にする。
・スロープ材には滑り止め加工がされたノンスリップシートを敷き、安全性を確保。
多機能手すり(高低可動・補助バー内蔵家具)
・廊下や階段だけでなく、リビング~キッチンの動線上にある壁に手すり下地を補強しておけば、後付けで手すりを追加可能。
・ソファ横に立ち上がり補助バー付き小さいテーブルを置き、座ったままテーブルで体を支えながら立ち上がれるようにする。

・要介護度が進むと「ベッド⇔車いすへの移乗」「入浴介助」「食事介助」など、介護者への負担が大きくなる。
・住宅内に介護機器を組み込むことで、家族介護者やホームヘルパーの身体的負担を軽減し、高齢者の自立支援をサポート。
介護用電動ベッド
・高さ調整とリクライニング機能を備えた介護ベッドは、座ったまま自力で立ち上がりやすい設計。
・褥瘡(じょくそう)予防マットレスを組み合わせ、長時間寝たきりにならないよう体圧分散機能を活用。
天井走行リフト(レール式)
・部屋の天井にレールを設置し、電動リフトを取り付けることで、ベッド⇔車いすあるいはベッド⇔浴槽内リフトなどへの移乗をサポート。
・リフトライン上に「シャワーチェア対応の浴槽台」を配置し、入浴介助者の腰痛リスクも軽減。
見守りセンサー(床置き・マット型)
・ベッド脇や廊下、トイレ近くに「圧力センサー内蔵マット」を敷き、長時間動きがない場合や夜間に廊下へ出た際に介護者のスマホへ通知。
・AIカメラと連動させて「転倒検知」「倒れ込み検知」を行い、異常時に遠隔家族や介護スタッフにリアルタイム通報。
LASHIC:次世代高齢者見守りサービスLASHIC(ラシク)

AI搭載見守りカメラ
・リビングやキッチンに設置し、人の動きを解析して「長時間動きがない」「転倒検知」「異常音(大きな叫び声)検知」を行う。
・プライバシー保護のため、映像はクラウドに自動保存せず、異常検知時のみ通知とサムネイル画像を送信する設計を選ぶと安心。
ドア/窓開閉センサー
・玄関ドアやベランダの窓にセンサーを取り付け、「夜間に外出していないか」「冷暖房効率を考えると窓が開きっぱなしか」を遠隔で確認できる。
・認知症の初期症状で夜間徘徊の恐れがある場合、窓開閉を家族に自動通知し、不安を軽減できる。
緊急通報ボタン(携帯型 or 壁掛け型)
・高齢者の手が届きやすい位置(ベッドサイド、トイレ、浴室近く)にワイヤレス式の緊急呼び出しボタンを設置。
・ボタンを押すと登録先(家族や訪問介護スタッフ)へ即座に音声通話がつながる仕組みを採用。
アイホン:高齢者・介護用緊急通報装置

・独居高齢者の孤立感を防ぐには、遠隔で気軽にコミュニケーションできる環境が不可欠。テレビ電話機能付きインターホンや音声アシスタントは、家族・友人・医療機関との繋がりを維持しやすい。
テレビ電話機能付き玄関インターホン
・来訪者だけでなく、登録家族のスマホやタブレットから「訪問前のビデオ通話」で会話できる機能を活用。
・子世帯と遠隔で「おはよう」「体調どう?」などの声がけを行い、孤立感を軽減。
音声アシスタント(スマートスピーカー)連携
・簡単なフレーズで「ニュースを読んで」「天気を教えて」「家族とテレビ電話して」などを実行。
・医療機関や薬局への定期的な処方箋リマインダーを組み込み、薬の飲み忘れを防ぐアプリ連携も可能。
タブレット・スマホからの遠隔操作アプリ
・子世帯が高齢者宅の「音声アシスタント」に直接メッセージを送信できるほか、体調や予定を確認し合える簡易SNS機能を活用。
・大きめ文字で見やすいUIを選び、「孫の写真をいつでも切り替えられるフォトフレーム」的に活用することで心のケアにもつながる。
Panasonic:テレビ電話機能付き玄関インターホン

・高齢者にとって「腰を曲げて何かを取る」「棚の奥にしまったものを取り出す」「歩き回って家事をする」などは体力的に大きな負担。
・「収納位置の高さ」「家具の引き出し方式」「家事動線」を最適化することで、日々の暮らしが格段に楽になる。
腰高収納(シニア向けパントリー・洗面収納)
・キッチンの食品庫や洗面脱衣所の収納は、腰の高さ(900~1000mm付近)を中心に設計し、かがむ動作を最小化。
・上段には軽量のものだけを配置し、調味料やタオル類は手を伸ばせば取れる位置に置ける可動棚を備える。
ユニバーサルデザイン家具(引き出し式・スライドレール)
・食器棚や下駄箱、クローゼットは「引き戸」や「全開引き出し式レール」を採用し、腕を奥まで差し込まずに全体を見渡せるタイプを選ぶ。
・クローゼット内部には「高さ調整可能なハンガーポール」や、「自動昇降ハンガー」を組み込み、衣類を肩の高さに上げ下げできる設計が便利。
家事動線の集約化
・キッチン→洗濯機→物干しスペース→家事収納までの動線を最短距離に配置。
・洗面脱衣所横に「室内物干しバー」を設置し、洗濯後すぐに干せる環境を確保。浴室乾燥機と併用すると、身支度から洗濯作業までをワンルームで完結できる。
・ゴミ分別コーナーをキッチン隣にまとめ、「生ゴミ」「プラ」「缶・瓶」などを高さ別ごみ箱で分けておくと、屈まなくても分別しやすい。
高齢者が自宅で快適かつ安全に過ごすためには、「睡眠」「風呂」「トイレ」「炊事」「洗濯」など毎日のルーチン動作をいかに楽に・安全にするかに加え、「室内移動」「介護サポート機器」「独居見守り」「コミュニケーション環境」「収納・家事動線」といった要素をトータルに設計することが大切です。
これらを組み合わせることで、高齢期の「自立支援=要介護度遅延」「介護負担軽減」「快適な在宅生活」を同時に実現できます。ぜひご自身やご両親・家族のライフステージに合わせて、上記10選を参考に取り入れ、要介護化や転倒リスクを抑えた長期的に安心して暮らせる住まいづくりを検討してください。
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