注文住宅建てる前に抑えておきたいコンセントの位置・数の最適化徹底ガイド2025
2025.06.04
2025.06.04
目次

住宅を建てる際、一度施工してしまうと後から簡単に変更できないのがコンセントの位置と数。スマホや家電、掃除機、電動工具など、ライフスタイルに合わせて「あとで足りない……」とならないよう、設計段階でしっかり考えておきましょう。
住宅のコンセントは、壁内に配線を埋め込んだり、スイッチ・分電盤との専用回路を設けたりして設置します。そのため、新築やリフォームのタイミングで配線経路・位置・回路数を決めておかなければ、下記のような問題が発生します。
上記な様な大きなコストと手間、さらに施工期間の確保が必要になります。
その結果、せっかくの注文住宅なのに「あとで足りない……」と気づいても手軽に変更できず、タコ足配線・延長コードなど見栄えが悪いといった理想と想定外の工事費用が発生しがちです。
ライフスタイルに合わせた家電の増減や、将来の拡張性を見据えて、設計段階できちんと位置・数を検討しておくことが重要です。


リビングは、家族が集まりくつろぐ時間からテレワークまで、幅広い用途で使われる“起点”となる空間です。そのため、テレビやゲーム機などのエンタメ機器はもちろん、掃除機の充電やスマホ・PCの給電、照明、ペット用品やエアコン・空気清浄機といった家電まで、設置する家電の種類も数も非常に多くなりがちです。たとえば、代表的な家電・機器を挙げると以下のとおりです。
これだけ多彩な機器を使うリビングでは、“どこに何台つなぐか”を前もって考え、コンセントの配置・口数を適切に設計することが、すっきりかつ快適な空間づくりのポイントです。
一般的には、以下のように最低限の数か所にコンセントを設けているケースがほとんどです。
→ 合計:3~5口程度
要所を押さえた配置にすることで、リビング全体を一括管理でき、来客時にも配線が目立たずすっきりした印象になります。以下の表は、リビングで使う代表的な機器群を想定し、位置・高さ・口数のバランスを取ったおすすめパターンです。
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設置場所 |
口数 |
使い方イメージ |
位置・高さのポイント |
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テレビ背面(壁掛け想定・高め) |
4 |
Wi-Fiルーター、テレビ+ゲーム機、レコーダー、サラウンドシステム(スピーカー)など、AV機器をまとめて接続 |
テレビ中心の高さ(地上から約1.2m)に合わせ、パネル裏に設置。壁内配線で配線を隠すと見た目すっきり。 |
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ソファ横(手元・中間高さ) |
1 |
スマホ・タブレット充電器、間接照明、ノートPC(テレワーク時)などを手軽に差し替え。 |
ソファ肘掛け付近の壁面に、地上0.5~0.6mの高さで設置。座ったまま使いやすい高さを確保。 |
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床近く(掃除機用・低め) |
1 |
コードレス掃除機の充電ドックを常設。 |
床から約0.1mの低い位置に設置し、掃除機スタンドとコードの取り回しをラクに。 |
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リビング中央(延長コード用・中間高さ) |
2 |
リビングテーブル周辺やソファ周辺での一時的な家電、テレワーク用PCやホットプレートなど、用途に応じて延長コードで利用。 |
部屋の中央付近の壁面に、地上0.8~1.0mの高さで設置。延長コードの取り回しがスムーズで、複数人がシェアしやすい。 |
このように、使用する機器の種類と稼働場所を想定してあらかじめ口数を確保し、それぞれの高さ・位置を最適化することで、リビングまわりが「使いやすく」「美しく」仕上がります。

キッチンは、調理や家事を中心に使われるため、冷蔵庫や電子レンジなどの大型家電からミキサー・コーヒーメーカーなどの小型家電まで、多種多様な機器が並びます。下記のような家電を想定し、調理や下ごしらえ、ドリンク作成といった動線に合わせてコンセントの配置や口数を考えることが快適なキッチン設計のポイントです。
→ 合計:3口程度
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設置場所 |
口数 |
使い方イメージ |
位置・仕様ポイント |
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冷蔵庫奥(高め・単独200V) |
1 |
冷蔵庫専用でつなぎ、ブレーカー落ちを防止 |
壁面高め(地上1.5m前後)に設置し、200V専用回路を直結。周囲に配線が露出しないよう壁内配線を推奨。 |
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調理家電コーナー |
4 |
電子レンジ・オーブントースター・ポット・炊飯器などを同時接続 |
地上0.8mの高さにまとめて設置。配線を隠蔽しやすい耐荷重コンセントを選定。キッチンカウンター下に配置すると作業しやすい。 |
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キッチン島カウンター下 |
2 |
ミキサーやコーヒーメーカー、炊飯器追加などサブ家電用 |
足元側(地上0.3m)に配置し、電源コードが邪魔にならないよう奥寄りに設置。使用時に対面からアクセスしやすい位置を確保。 |
Point:
設計段階で「調理家電専用回路を◯回路」「照明系・換気扇専用回路を◯回路」に分類しておくと、日常のストレスを大幅に減らせます。見積もり時に「キッチン回路の分割」を必ず確認しましょう。

寝室はくつろぎと安眠を重視する空間ですが、スマホの充電や照明、さらにはテレビや録画機器、オーディオシステムなどを置くケースも増えています。また、加湿機や空気清浄機などの快適家電や、ドライヤー、美容家電、電動ベッドなどを併用する人も少なくありません。以下の家電を想定して、ベッドサイドを中心にコンセント計画を行うと快適です。
→ 合計:1~2口程度
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設置場所 |
口数 |
使い方イメージ |
位置・仕様ポイント |
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ベッドサイド(低め) |
2 |
左右両側でスマホ充電、目覚ましライト、アロマディフューザーなどを同時使用 |
ベッドヘッド脇、地上0.2~0.3mの低めに設置。寝返りをうってもコードが邪魔にならない位置を確保。 |
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頭側壁面(高め) |
1 |
ヘッドボード一体型照明や読書灯、充電式ライトなどを接続 |
ベッドの頭側、地上1.2~1.4mの高さに設置。読書や就寝前の照明を手元でオンオフしやすく配置。 |

トイレや洗面所では、ウォシュレットや換気扇を稼働させつつ、掃除機や電動歯ブラシ、夜間用ライト、スマホ充電なども使われます。特にトイレ内で長時間スマホを使う人が増えているため、専用の充電口を設けると利便性がぐっと上がります。
→ 合計:1口程度
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設置場所 |
口数 |
使い方イメージ |
位置・高さのポイント |
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便座裏(ウォシュレット専用) |
1 |
ウォシュレット本体を直結し、安定した電源供給 |
便座裏パネル内に隠蔽配線。コンセントを露出させず仕上げることで見た目もすっきり。 |
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内装パネル裏(掃除機・歯ブラシ充電用) |
1 |
ハンディ掃除機や電動歯ブラシの充電ステーションを設置 |
内装パネル裏または収納棚の下に配置し、取り出すときに邪魔にならない高さを確保。 |
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鏡下・小物棚付近(スマホ充電・夜間ライト用) |
1 |
トイレ内でのスマホ閲覧・動画視聴用充電や、夜間の手元灯・LEDライト接続 |
鏡下約0.8mの高さに設置し、コードが床に垂れずスマートに見えるよう配線処理。 |
→ 合計:3口にすると
を分けて使い分けることで、コードが交錯せず快適かつ安全に利用できます。
ポイント:

廊下やホールでは、常夜灯や非常灯、掃除機充電、水槽や観葉植物用のポンプなど、一時的に使う家電や非常時のライトを稼働させるケースがあります。人が通る動線を遮らないよう、かつ非常時に備えたコンセント配置を検討しましょう。
→ 合計:1口程度
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設置場所 |
口数 |
使い方イメージ |
位置・仕様ポイント |
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各入り口付近 |
1口×2 |
常夜灯と非常灯それぞれ固定で接続 |
地上0.5~0.6mの高さに、通路を遮らないよう壁面に設置。非常時にすぐ使えるよう、見えやすい位置が望ましい。 |
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廊下中央(延長コード用) |
1口 |
空気清浄機や季節家電を一時的に接続・延長コードで利用可能 |
壁面地上0.8~1.0mの高さに設置し、延長コードを取り回しやすくする。床をすっきりさせ、通行の邪魔にならない位置を確保。 |
→ 合計:3口にすると
を分けて使い分けられ、万一の停電時や掃除時にもコードが交錯せずに快適です。
ポイント:
以上のように、各部屋・エリアでよく使う家電・機器を想定し、よくある設置例を踏まえたうえで「どこに何口」「高さや回路分割」の工夫を盛り込むことで、日常から非常時まで快適かつ安全に過ごせる住宅内コンセント設計が実現します。
外構やガレージ、ベランダ、玄関周りは、室内ほど頻繁ではないものの、電動自転車の充電や屋外用工具、照明、防犯設備など、さまざまな用途でコンセントが必要になるエリアです。屋外仕様のコンセントを適切に配置することで、DIYや洗車、BBQといった趣味から、非常時の照明やセキュリティ機器まで快適かつ安全に対応できます。以下では、代表的な外構・室外スペースごとに、「よく使うもの」「よくある設置」「おすすめパターン」をまとめました。

ガレージ・駐車スペースで使うもの
→ 合計:1口程度
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設置場所 |
口数 |
使い方イメージ |
位置・仕様ポイント |
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屋根下壁面(車両側) |
2口 |
電動自転車の充電ドック + 高圧洗浄機を同時利用 |
屋根下の軒がかかる位置に設置し、IPX4以上の防水・防塵コンセントを採用。車両の出し入れを邪魔しない高さ(地上0.5~0.8m程度)に配置。 |
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作業スペース足元 |
1口 |
インパクトドライバーや電動工具を使うときにその場で直接給電 |
床から地上0.2~0.3mの低めに設置し、延長コードを最小限に。ケーブルが足もとを邪魔しない奥寄りの位置が望ましい。 |
→ 合計:3口にすると、「バッテリー充電」と「工具使用」を並列運用でき、DIYや洗車が効率アップ。

ベランダ・テラスで使うもの
ポイント:
水がかかるリスクが高いため、防水性能(IPX4以上)の屋外用コンセントや防滴カバー付きのものを優先してください。
→ 合計:1口程度
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設置場所 |
口数 |
使い方イメージ |
位置・仕様ポイント |
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手すり下(IPX4以上) |
2口 |
BBQグリル + イルミネーション(ガーデンライト)同時点灯 |
手すり下の壁面(地上0.7~0.9m)に設置し、BBQやパーティー時に延長コード不要で複数機器を並列稼働。防水型コンセントを選定。 |
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床面近く(防水カバー付き) |
1口 |
DIYライトやガーデニング用品(電動ポンプ、タイマー付き散水装置)用 |
床面から地上0.2~0.3mの位置に設置。防滴カバーを完全に閉じておけば、雨天時でも水がかかっても安心。ガーデン作業向けにアクセスしやすい位置。 |
→ 合計:3口あると、BBQパーティーと日常のメンテナンス、イルミネーションを区分して使い分け可能。
玄関周りで使うもの
ポイント:
玄関は出入りが多い動線のため、コードが邪魔にならない壁面設置を心がけ、防滴仕様のコンセントを選ぶと安心です。
→ 合計:1口程度
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設置場所 |
口数 |
使い方イメージ |
位置・仕様ポイント |
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壁面(地面から約30cmの高さ) |
1口 |
センサーライトや監視カメラの電源直結 |
壁面に露出せずパネル内配線で隠蔽。地上0.3m程度の高さで、カメラやセンサーライトの配線が自然に伸ばせるように設置。 |
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靴箱下収納内(防滴仕様) |
1口 |
携帯バッテリー充電ステーションや屋外用水槽ポンプ(小型)の給電 |
靴箱下の収納スペース内に防滴カバー付きコンセントを設置。外部から見えづらい位置で、趣味用途の小型家電に使いやすく。 |
→ 合計:2口あると、セキュリティと趣味用途(ペット水槽など)を分けて安全に運用可能。
外構・室外も含めた住宅全体で、必要なコンセント数をまとめると以下のようになります。標準プランとゆとりプランで比較・検討してみてください。
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部 屋 |
標準プラン口数 |
ゆとりプラン口数 |
コメント |
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リビング |
8 |
12 |
AV機器+作業スペース用に余裕を確保 |
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キッチン |
6 |
8 |
調理家電同時使用を見越して集中配備 |
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寝室(×2部屋) |
3×2=6 |
5×2=10 |
ベッドサイド+読書灯/充電備えを左右両側に |
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トイレ(×2箇所) |
1×2=2 |
2×2=4 |
ウォシュレット+掃除機・歯ブラシ充電用を個別回路で |
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廊下・ホール |
2 |
3 |
夜間照明+空気清浄機用に余裕 |
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ガレージ/外構 |
3 |
4 |
充電+工具+BBQなど多用途に対応 |
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ベランダ・テラス |
1 |
3 |
パーティー+メンテナンス+イルミネーション |
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玄関周り |
1 |
2 |
セキュリティ+ペット水槽等趣味用 |
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合 計 |
約24 |
約42 |
ゆとりプランは将来の家族構成変化・家電追加時にも安心 |
Point:
ゆとりプランを採用すると初期コストは増えますが、将来の家電追加やライフスタイルの変化に応じた増設工事を回避できます。特に外構・室外の配線は後から工事が難しい場合が多いので、新築やリフォームのタイミングでまとめて計画することで、後から内装補修費や足場代がかかるリスクを減らしましょう。