車椅子利用者や障がいを持つ方に最適なバリアフリー住宅とは
2024.11.27
2024.11.27
目次

車椅子利用者や障がいを持つ方にとって、バリアフリー住宅は快適で安全な生活を送るために欠かせない要素です。
今回のコラムでは、車椅子利用者や障がいがある方が日常生活で感じる不便を軽減し、利用しやすい住環境を目指したバリアフリー設計の工夫や補助金制度について詳しく解説します。
・車椅子利用者や障がいを持つ方が快適に暮らせる設計のポイント
・大阪・兵庫・京都・奈良・和歌山で注文住宅をお考えならイエタッタへ

車椅子利用者や障がいを持つ方にとっては、一般的な住宅設計の場合に実際にはどのようなシーンで不便を感じるのか考えてみたいと思います。
・玄関に段差があると、一人で出入りすることが難しくなり、外出のたびに家族や介助者の助けが必要になる場合もあるでしょう。
・廊下が狭く車椅子の方向転換が困難だと、家の中を自由に移動できず、大きなストレスや不自由を感じることがあるでしょう。
・特に車椅子利用者の方にとっては、家事を自分で行う際に一般的なキッチン・シンクの仕様では高すぎて座ったままでは調理が出来ない、蛇口に手が届かないなどが日常的な負担となるでしょう。
・また同様に水回りでいえば洗面台においても一般的な仕様であれば高すぎて手が届きにくいことがあります。それだけでなく洗面台下部に十分な空間スペースがないと、車椅子を寄せて前に体を出すことが難しいなども不便を感じる要因になることもあるでしょう。
・一方、トイレ設備に手すりがない、またはスペースが狭い場合には、車椅子からの移乗や座る・立つなどの動作が困難になりやはり不便さを感じる要因になるでしょう。
・車椅子利用者の場合、通常の浴室では入浴そのものが不可能となる場合があります。
介助が必要な場合、浴室が狭いと介助者が十分に動けず、安全に入浴をサポートすることができません。
まとめると車椅子利用者や障がいを持つ方の場合、日常の居住内での移動・生活の大半における活動において大なり小なり不便を感じるポイントがあると言えます。
ではこのような日常的な不便を解消し便利で安心して生活できる環境を整えるにはどうすればよいのでしょうか?
結論から言えばこれらの課題を解決するためには、住宅の設計段階からバリアフリー化の工夫を取り入れることが必要です。

◆バリアフリー住宅とは?
そもそもバリアフリー住宅とは車椅子利用者や高齢者、障がいを持つ方など、誰もが安全で快適に過ごせるように設計された住宅を言います。
以下に先ほど挙げた日常の不便さを解消に向けて住宅バリアフリー化を実現する具体的な設計ポイントを解説します。
◆段差の解消
まず段差を解消することで、車椅子利用者や障がいを持たれる方の移動がスムーズになり、安心して家の中を自由に移動しやすくなります。
設計基準としては、以下の点が重要です。
・玄関や廊下などの段差をすべて無くす
・床の高さを均一にする
・ドアの開閉がしやすいように引き戸を取り入れる
段差の代わりにスロープを設置することは、車椅子利用者にとって大変有効です。
スロープを設置する際には、傾斜を含めていくつかのポイントを抑えてみましょう。
一般的には1メートル上がるのに対し12メートルの長さを確保することが推奨されます。この場合、スロープの傾斜角度は約4.76度になりますので、ポーチから玄関土間の高さや面積などを加味しながらこちらを基準に設計を行うと良いでしょう。
また、スロープの幅は車椅子が通りやすい90センチメートル以上を確保するようにします。
ただしスロープの設置には設置の為に広いスペースの確保が必要になる事がデメリットとして考えられます。
段差を無くすべきかスロープを設置するべきかはご自身のスタイルに合わせて設計担当者と良く話合うのが良いでしょう。
車椅子利用者が通る際には、廊下の幅が十分に広いことが必要です。
一戸建て住宅の場合、通常は91cmを基本寸法とする尺モジュールが採用されています。
尺モジュールの廊下の幅は80cmほどになるので、車椅子利用者にとってはやや狭く感じることがあります。
そこで、注文住宅の設計時に廊下幅を広げる工夫が必要です。
具体的には、柱の位置を「尺」単位より小さい「寸」単位にするか、もしくはメーター(1m)を基準とするメーターモジュールを採用することで、柱の間隔や建物内のスペースに変化を持たせて車椅子がスムーズに通行できる空間を確保できます。(※注1)
・廊下の幅は90センチメートル以上を推奨
・手すりを設置する場合は、その分幅を確保し、車椅子でも問題なく通れるようにする
この配慮によって、安全で快適な移動ができるようになります。
また、必要に応じて壁面の一部を凹ませるなど、車椅子の旋回や移動がしやすい設計を取り入れることも効果的です。
※注1
メーターモジュールを設計に採用できるかどうかはハウスメーカーによって対応が異なりますので、廊下幅の拡張をお考えの方は検討先に相談してみると良いでしょう。
次に日常生活における家事や作業の不便さ解消のポイントを抑えた考え方の解説をしていきます。
家の中で負担が少なく移動や家事などができるようにするためには、動線設計がとても重要です。
例えば、収納は座ったまま手が届く高さに設けると、物の出し入れがしやすくなります。
よって、スイッチや棚も手の届きやすい位置に設置することで、車椅子利用者や障がいを持つ方にとってさらに便利になります。
さらに、トイレやキッチンといった頻繁に利用する場所への移動距離を短くすることで、日々の生活がより快適で負担が少ないものになります。
車椅子利用者が使いやすいトイレの設計には、さらにいくつかの工夫が必要です。
例えば、車椅子がスムーズに入れるスペースを確保し、移動がしやすい環境を作ることが重要です。
・トイレの入口は90センチメートル以上の幅を確保する
・車椅子の回転スペースとして、約1.5平方メートルのスペースを設ける
・便器の横に手すりを設置して、立ち座りをサポートする
これらの設計を取り入れることによって、トイレが安全で使いやすくなります。
洗面所は、車椅子利用者が前に体を寄せやすいように工夫が必要です。
以下の点に注意して設計を行うようにします。
・車椅子使用者が無理なく利用できるよう、洗面台の上端部を床面から約75cm、下端部を60~65cmの高さに設置し、洗面台下部に十分なスペースを確保する
・蛇口は手前に設置し、レバー式やセンサー式を採用する
・鏡は上下に動かせるタイプを選ぶ
・十分な回転スペースを確保する
このような配慮を取り入れることで、洗面所の利便性が格段に向上します。
◆浴室設計時の配慮事項
最後にお風呂に言及してみましょう。車椅子利用者や障がいを持つ方が安全で快適に浴室を使用できるようにするためには、障がいの度合いや介護の状況に応じた最適な設計が求められます。
それぞれの利用者のニーズに合わせた細やかな配慮が必要になるので、設計段階でどのような浴室にしたいのか、しっかりと要望を伝えることが大切です。
下記は、車椅子利用者向け浴室設計ポイントの一例です。
・脱衣場と浴室の段差を無くし、車椅子でスムーズに移動可能にする
・扉の開口を広げ、車椅子が通れる構造にする
・寝室から浴室までの経路を一直線に設計し、移動を簡単にする
・車椅子から浴槽への移動を補助するリフトを導入する
これらの設計配慮は、利用者個々のニーズや介助者の意見を取り入れて、柔軟に対応することが大切です。

車椅子利用者や障がいを持つ方も暮らしやすいバリアフリー住宅を検討する際、国や自治体が提供する補助金や助成金制度を活用することで、経済的な負担を軽減することが出来る場合もあります。
ここでは、バリアフリー改修や新築時に利用できる一般的な補助金制度を紹介します。
まず、バリアフリー改修に対して利用できる制度として、「介護保険制度」があります。
この制度では、要支援や要介護の認定を受けた方が対象となり、段差解消や手すり設置などの改修工事に最大20万円の9割(18万円)が補助されます。
また、各自治体でも独自の助成金制度を提供しており、介護保険の対象外となる工事にも適用されることがあります。
お住まいの自治体で提供されている補助金や助成金については、事前に確認することが大切です。
バリアフリー住宅を新築する際には、省エネ性能を高めた住宅に対する補助金制度も利用できます。
ZEH補助金 ※2024年10月23日時点
「ZEH補助金」は、国が実施する「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」を推進する事業です。
新築時にZEH基準を満たす住宅を建設すると、ZEHで55万円、さらに省エネ性能の高いZEH+で100万円の補助が受けられます。
また、蓄電システムや地中熱ヒートポンプシステムを導入すると、その費用の一部も補助されます。
この補助金は2024年12月23日まで申請可能ですが、予算に達すると終了するため、早めの申請が重要です。
ZEH補助金:https://zehweb.jp/
補助金を上手に活用するためには、住宅改修における優先事項を考慮し、効率的に計画を進めることが大切です。
まず段差を無くすことや、トイレや浴室の改修から始めると良いでしょう。
手すりやスロープ設置も対象となるため、しっかりとした計画のもとに補助金を利用することで、無駄なく住宅を改修できます。
自治体によって異なる条件や制度が存在するため、早めに情報を集めて手続きを進めることが大切です。
ここまで、車椅子利用者や障がいを持つ方に最適なバリアフリー住宅の設計ポイントや補助金などについて詳しく解説しました。
この記事を参考にして、ぜひご自身や家族のライフスタイルに合った快適な住まい作りを目指してください。
大阪・兵庫・京都・奈良・和歌山でバリアフリー住宅の建築を検討している方は、イエタッタにご相談ください。