今年度改正された、「日本住宅性能表示基準」って?
2024.10.09
2024.10.09
目次

2022年度に改正された「日本住宅性能表示基準」は、住宅の耐震性や断熱性など、安全に生活するうえで重要となる住宅性能の評価基準です。
ここでは、住宅性能表示基準の評価方法や目指すべき耐震性能や断熱性能について特に詳しく解説します。
また、住宅性能評価の指標となる住宅性能評価書の申請や交付手続きについても解説するので、大阪・兵庫・京都・奈良・和歌山で注文住宅をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
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日本住宅性能表示基準とは、住宅品質確保促進法に基づいて、国土交通大臣が定めた住宅性能の表示に関する基準のことです。
そして、住宅品質確保促進法とは、本来は「住宅と品質確保の促進等に関する法律」といい、略して「品確法」とも呼ばれます。
この法律で定められているのは、主に以下の3つになります。
新築住宅の購入に際し、瑕疵担保責任の特例を設け、最低10年間の保証を義務付けています。これにより、住宅取得後の安心な生活をサポートします。
住宅の性能を事前に比較できるよう、新たに性能表示の基準を設け、第三者機関が客観的に性能を評価します。これにより、住宅の品質を確保し、購入時の判断材料とすることが可能です。
建設住宅性能評価書が発行された住宅に関するトラブルに対し、裁判外での紛争処理を円滑かつ迅速に行う体制を整備しており、万一のトラブル発生時には紛争解決を迅速化することを目指しています。住宅性能は10分野にわたって評価され、住宅購入の際に判断基準として活用されています。

・カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けて住宅性能を向上
2050年までにカーボンニュートラルや脱炭素社会を実現するためには、住宅分野における省エネルギー性能の向上が不可欠です。住宅は日常生活で消費されるエネルギーの大部分を占めており、これを効率的に削減することが環境負荷の軽減につながります。そのため、住宅のエネルギー効率や断熱性能を向上させることが、持続可能な社会の構築において重要な役割を果たします。
日本政府はこの目標達成に向け、住宅性能基準の改正を行い、より高い省エネルギー基準を住宅に求める動きを強化しています。特に注目すべきは、ZEHの水準が新たに「断熱等性能等級の等級5(ZEH基準相当)」「一次エネルギー消費量等級の等級6(ZEH基準相当)」として住宅性能基準に組み込まれた点です。
ZEHとは、年間の一次エネルギー消費量が実質ゼロとなる住宅のことで、エネルギーを効率的に利用し、太陽光発電などの再生可能エネルギーを活用することで、環境への負荷を最小限に抑えることが可能となります。
2022年3月31日まで
・断熱等性能等級
等級4(H25基準相当)
等級3(H4基準相当)
等級2(S55基準相当)
その他(等級1)
・一次エネルギー消費量等級
等級5(低炭素基準相当)
等級4(H25基準相当)
その他(等級1)
2022年4月1日から
・断熱等性能等級
等級5(ZEH基準相当)★
等級4(H25基準相当)
等級3(H4基準相当)
等級2(S55基準相当)
その他(等級1)
・一次エネルギー消費量等級
等級6(ZEH基準相当)★
等級5(低炭素基準相当)
等級4(H25基準相当)
その他(等級1)
・断熱等性能等級は2022年10月にさらなる上位等級が新設
その後2022年10月には表示基準・評価方法基準がさらに改正され、戸建住宅のZEH水準を上回る、断熱等性能等級6、等級7が新設されました。
2022年9月30日まで
等級5(ZEH基準相当)
等級4(H25基準相当)
等級3(H4基準相当)
等級2(S55基準相当)
その他(等級1)
2022年10月1日から
等級7 ★
等級6 ★
等級5(ZEH基準相当)
等級4(H25基準相当)
等級3(H4基準相当)
等級2(S55基準相当)
その他(等級1)

住宅性能評価では、「住宅性能表示制度」を基にした評価基準によって、住宅性能の各分野を評価していきます。
例えば新築住宅の場合、構造の安定(耐震性)、劣化の軽減(耐久性)、維持管理・更新への配慮、温熱環境・エネルギー消費量(省エネ性)など、10ヶ所のポイントに分けてそれぞれ評価を行います。
こうした住宅性能評価は、設計段階と建設・完成時の2段階で行われます。
設計段階で作成されるのが「設計住宅性能評価書」で、建設現場での検査によって作成されるのが「建設住宅性能評価書」です。「建設住宅性能評価書」については、原則的に現場での検査を4回実施しなくてはなりません。
中古物件の住宅性能評価では、主に現場での「現況調査」に重点が置かれます。
「現況調査」は「現況検査・評価書(既存住宅性能評価書)」の交付の際に必須となる検査項目であり、その他にもオプションで「特定現況検査」や「個別性能に関する検査」を行うことが可能です。
このように、新築住宅の「設計住宅性能評価書」「建設住宅性能評価書」や、中古住宅の「現況検査・評価書(既存住宅性能評価書)」の交付によって住宅の品質や性能を客観的に把握できるため、購入や維持管理の際の重要な指標とすることができます。

耐震等級は、住宅の耐震性能を評価する指標です。
品確法(住宅品質確保促進法)に基づく住宅性能表示制度で定められており、1~3の等級によって示されます。
等級1は建築基準法の最低基準を満たすレベルであり、等級2はその1.25倍、等級3は1.5倍の耐震性能です。
最も高い耐震性能である耐震等級3は、建築基準法で想定される地震力の1.5倍の力に対しても住宅が倒壊しない構造を持ちます。
そのため、かけがえのない家族の安全や財産を災害から守るためには、住宅の耐震等級3を実現することが望ましいと言えるでしょう。
また、地震の後も継続して住み続けられる可能性が高まるため、生活の早期回復にも繋がります。
建築基準法は、建築物の安全性、衛生性、機能性などを確保するための最低限の基準を定めた法律です。
一方、品確法は正式名称を「住宅の品質確保の促進等に関する法律」と言い、一般的に品確法の方が建築基準法よりもより詳細で厳密な評価方法となります。
品確法独自の検討内容としては、主に以下の要素が挙げられます。
「壁量」
品確法では、建築基準法の基準にはない「地震に関する必要壁量(積雪考慮)」や「準耐力壁存在壁量」といった要素も検討されます。
「接合部」
品確法では、建築基準法で検討される箇所に加えて、「胴差の端部と通し柱」の接合部や「床・屋根の外周の横架材」の接合部もチェックの対象となります。
このように、同じ建物でも建築基準法と品確法住宅性能表示では評価基準が異なります。
特に、品確法における耐震等級3を満たす住宅は建築基準法の最低基準を大きく上回る耐震性能を持つため、より安全で耐久性の高い住宅を実現できるでしょう。

断熱等級とは、住宅の断熱性能を示す指標です。この等級の数字が大きいほど、断熱性能が高くなります。
2022年3月までの断熱性能の最高等級は4でしたが、環境問題への関心の高まりが背景となり、同年4月には等級5、そして同年10月に等級6と7が新設されました。
地震大国である日本でこれから家を建てる場合、最低でも等級5、できれば等級6を目指すのがおすすめです。
断熱等級6はHEAT20のG2レベルに相当し、断熱等級4と比べて約30%の省エネ効果が期待できるとされています。
断熱等級を高めるメリットとしては、室温を快適に維持できることのほか、部屋間の温度差によるヒートショックなどのリスクの低減や、冷暖房の稼働による光熱費の負担を減らせることなどが挙げられます。
また、各種優遇制度が利用できるのもメリットです。
例えば、【フラット35】Sというローンでは、断熱等級が5以上ある住宅に対して当初5年の金利を引き下げるといった優遇制度を受けることができます。
一方、断熱等級を高めることのデメリットとして挙げられるのは、建築費が一般的な住宅よりも大きくなることによる初期コストの増大です。
例えば断熱等級を4から6に上げる場合には、家の広さや地域、選択する材料によって変動するものの、約60万円の追加費用が必要とされています。
メリットの多い高断熱住宅ですが、気密性の高さや専門的な建築技術が必要な点など、一般的な住宅を建てるよりも気を配らなければいけないポイントが存在します。実際に建てる際には、以下の点に注意しましょう。
断熱性が高まると、それに応じて気密性も上がるため、カビや結露が発生するリスクが高まってしまいます。そのため、適切な通風計画を立てて換気に気を配るようにしましょう。
窓は、熱の出入りが最も多い場所です。そのため、部屋の断熱性を高めることを意識する場合、窓のサイズや日差しの方角、ガラスの種類などを慎重に選ぶ必要があります。
高断熱・高気密の住宅を建築する際には、施工の際に隙間を作らないようにする高度な技術が必要です。そのため、高い技術を持っており、建築実績が豊富な業者を選択するようにしましょう。
住宅を建てる際には、ZEHの基準を満たすことで、さまざまな補助金制度の対象となるため、初期コストを減らすことができます。

住宅性能評価書を受け取るための申請や交付手続きについて解説します。
住宅性能評価の申し込みは、住宅の売買を行う人や仲介する人など、誰でも申請することができます。
ただし、この申し込みには必要書類の準備など煩雑な作業が多数あるため、素人が行うのは難しいでしょう。
そのため、設計会社や建築会社など、申請処理の手続きに慣れた業者に申請代行を行ってもらうのがおすすめです。
申請先となる登録評価機関は全国各地に点在しており、それぞれ担当するエリアがあります。
評価してもらいたい建物を担当する機関は、国土交通省のウェブサイトや住宅性能評価・表示協会のリストからエリア別に探すことができます。
登録評価機関に、設計図書といった必要書類を揃えた状態で「設計住宅性能評価」を申請します。その後、評価機関が専門スタッフによる審査を行い、建物の各評価が基準を満たしていた場合は「設計住宅性能評価書」が交付されます。
建設工事が始まったら、「建設住宅性能評価」の申請を行います。申請が受理された後、評価機関から派遣された検査員が建設現場で原則4回の検査を行います。
無事すべての検査に合格すると、「建設住宅性能評価書」が交付されます。
上記の手順によって、「設計住宅性能評価書」および「建設住宅性能評価書」を取得することができます。
この2つをセットで揃えておくことで、もしトラブルが起きても紛争処理などを格安で受けることが可能です。
また、住宅の耐震性や耐久性を客観的に把握できるほか、特例措置といった多くのメリットがあるため、住宅の建築や購入を検討している方は、ぜひ住宅性能評価書の取得を視野に入れて計画を立てることをおすすめします。
ここまで「日本住宅性能表示基準」や「建設住宅性能評価」について詳しくお伝えしました。
大阪・兵庫・京都・奈良・和歌山で、注文住宅による家づくりを検討中の方は新たな基準をしっかりと把握し、新たな基準にのっとってさらに快適な家づくりを行いましょう。